現地リポート

2003.07.01ボリヴィア 農村基礎衛生計画

国名 : ボリヴィア JICA個別専門家:木村 剛
ハンコニューニョ村落

ハンコニューニョ村落

ボリヴィアに着任して、6ヶ月が経った。今は乾季でほとんど雨は降らず、山肌の露出した茶色の崖が周囲には広がっている。任地のラパスは、標高3800m、富士山の頂上よりも高いところにある。南緯16度、地図上では熱帯地域にあるように見えるが、セーターやコートが欠かせない。年間平均気温8.8℃、明け方は氷点下になることもある。空気が薄いため、さすがに着任当初2週間程度はアルコール類を一切のめなかったが、今では、高地トレーニングの甲斐あって、ボリヴィア産の安ワインなどをたしなむようになった。半年も高地にいると赤血球が増えるという。

高地にいると日本のような平地では経験できないことがいろいろある。ここでは気圧が低いため、お湯は85℃で沸騰する。このためご飯を炊くときもスパゲティーをゆでるときも圧力釜を使っている。そうしないと麺も米も湯に浸けたような仕上がりになってしまうためだ。洗濯物が速く乾く点はありがたい。湿度が低いうえに、気圧も低く水の蒸発が速いためだ。ここでは汗もかかないのに、喉が乾くのは妙に早い。高地適応で人体の利尿作用が活発になるためだという。酸素が少ないため、薪に火をつけるのは平地よりも時間がかかる。また、タバコは灰皿に置いておくと自然に消えてしまうという。自動車も酸欠のせいで平地より力が出ないようだ。

地下水に集まる住民

地下水に集まる住民

今回の派遣は、指導科目:農村基礎衛生計画となっており、かつて行われたJICAの無償資金協力「第一次、第二次地方地下水開発計画」の村落開発等、ソフト面でのフォローアップが目的となっている。これらの無償資金協力で作られた各地の井戸施設を回って現状分析を行うことが、着任してからこれまでの主な業務となった。

この地方地下水開発計画は、4県(サンタクルス県、チュキサカ県、オルロ県、タリハ県)の各地方の村落で行われており、現在も技術移転された県のスタッフが掘削を続けている。7月20日現在で井戸は合計330本にのぼり、とても全部を1人で回ることはできない。また、ボリヴィアではNGOの活動が比較的活発なことから、パイロットプロジェクトとして選定した地域の村落開発をNGOと共同で行う計画を立てている。

木村専門家ファミリィ

木村専門家ファミリィ

配属先では、しばらく混乱が続いている。構造調整プログラムが進められている影響だ。本年2月に警察と軍との衝突による市街戦が起きた直後、政府は内閣改造を発表し、これに続いて構造調整の一環として省庁の再編計画が急きょ発表された。4月に入り配属先、旧住居・生活基盤整備省も分割・解体され、新たに公共事業省としてインフラ整備をすべて担当する省庁として再編され、5月になって新しいビルに移転した。その際に電話会社との契約がなくなり、3月から5月にかけて電話・FAX等による通信がなくなるなどの問題もあった。省庁解体に伴い大幅な人員削減が行われ、突然の解雇や部署換えが相次いで起こっている。また、給与の財源の問題が浮上、職員の給与が3ヶ月も払われないままになっている。

こうした混乱のなか、物事がなかなかスムーズに進展しないことにイライラしていると、「辛抱が肝心だよ」と配属先の若い職員に諭される。政権が代わると門番まで代わると言われるラテンアメリカ、日本と違い公務員は不安定な職業と見えて、新入りの若者も腹が据わっているようだ。