現地リポート

2008.08.01サイクロンに見舞われたヤンゴン市内レポート

国名 : ミャンマー ミャンマー国ソフトウェアおよびネットワーク技術者育成プロジェクト
副総括/プロジェクト・マネジメント 小暮 陽一

2008年5月2日、ミャンマーは大型サイクロン「ナルギス」の直撃で大きな被害を受けました。私はその直後の5月11日から約1ヵ月間ミャンマーのヤンゴンに滞在する機会がありましたので、その時の様子をご紹介したいと思います。

洪水に見舞われた田畑

洪水に見舞われた田畑

私は2006年の12月からミャンマーのIT案件に専門家として何度も派遣されていましたので、ミャンマーの事情やヤンゴンの様子についてはすでによく知っていました。しかし今回はサイクロンの直後ということもあり、はたして無事にヤンゴンに辿り着けるのだろうかという若干の不安がありました。 バンコクから夕方の飛行機でミャンマーに向かい、ヤンゴンに近づくにつれて、窓の外に異様な光景が広がり始めました。サイクロンがもたらした大雨で氾濫した河の周辺を中心に洪水が広がっているのはもちろんですが、水浸しとなった広大な田園風景の至る所から無数の大きな煙が立ち昇っているのです。これはどうやら、サイクロンで破壊された家屋などの残骸を燃やしている煙なのだと後で知らされました。

残骸を焼く煙が立ち上る

残骸を焼く煙が立ち上る

空港を出てヤンゴンの街に入ると、まず明かりがほとんど見えず真っ暗でした。一部の大きな商店やホテルなどは自家発電で照明を点けていましたが、電線が倒木等によって至る所で寸断されており、また電線が地面や水路などに落ちてしまった場所もあるため、復旧に時間がかかり、停電はその後一か月近くにわたって続いた地域もありました。 到着した次の日に車でヤンゴン市内を走ってみると、とにかくその倒木の数に圧倒されました。ヤンゴンは他の東南アジア諸国の首都と比べても格段に木が多い街で、場所によっては鬱蒼とした巨木が生い茂り、まるでジャングルの中に街があるかような独特の雰囲気があったのですが、今回のサイクロンによってその大部分の木が文字通り根こそぎなぎ倒されてしまったのです。そのため、私はヤンゴン

倒木で破壊された家

倒木で破壊された家

市内の見晴らしが見違えるほど良くなってしまったことに驚き、全く別の街にいるような感覚さえ抱きました。 特に熱帯を代表するガジュマルのように太い幹とたくさんの枝を持つ巨木は、まるで巨人が一本一本丁寧に抜いていったかのように、折れずにそのまま倒れて無 残に根を晒しており、サイクロンの暴風の威力を思い知ると同時に、これほどの大木がそんなにも簡単に倒れてしまうものなのかと思わずいぶかるほどでした。 この暴風にも耐えたのは、風の影響を受けにくい細い木が多く、特に椰子の木は幹の強度に比べて風を受ける葉の面積が小さいためか、葉が折れただけで倒れた り折れたりすることはなかったようです。

道路をふさいだ巨木

道路をふさいだ巨木

押しつぶされたガードレール

押しつぶされたガードレール

これら木々の被害に比べると、ヤンゴン市内の建物等の被害は意外なほど目立ちませんでした。もちろん、屋根や瓦を飛ばされた家は数多く、倒れてきた木で損傷を受けた建物も多かったのですが、その周囲で倒れている膨大な量の木の方が、圧倒的に印象が強く、あるいはこの巨木たちが建物を暴風から守り、身代りになって倒れていったのかも知れないと思われました。ヤンゴン周辺で倒れた木は途方もない数に上ったものと思われます。当然その処理にも多大な労力を要したようでした。道路や建物に倒れた巨木は、枝を一本一本切り落とした後で、太い幹をいくつかに分割してトラックによって運び出されていました。

折れた電柱

折れた電柱

 屋根に穴が開いた家

屋根に穴が開いた家

倒れた広告塔

倒れた広告塔

壁面が全て飛ばされた建物

壁面が全て飛ばされた建物

強風であらぬ方向を向いた信号機

強風であらぬ方向を向いた信号機

運び出される木の残骸

運び出される木の残骸

ヤンゴン・コンピュータ大学(UCSY)内にある我々のプロジェクトサイトの建物は、幸い何枚かの窓ガラスの破損と、亀裂からの雨洩運び出される木の残骸り程度の被害で済みました。しかし、同じ大学の別キャン パスに視察に行ったところ、そちらの建物は屋根を飛ばされて最上階の教室が全滅に近く、壁一面に張ってあった大きなガラスも完全に砕け散るなど非常に大きな被害を受けていました。おそらく周囲に木もあまりない、見通しの良い田園地帯の中にあったので、サイクロンの強風をまともに受けたのではないでしょうか。

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス1

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス2

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス3

大きな被害を受けたUCSYロガ・キャンパス 一か月余りの滞在の後半になって、ようやく停電していた地域が減ってきました。見ていると、街のあちこちで新たな電柱や電線の設置作業を行っていました。面白かったのは、電柱とその間の電線が敷設されると、各家庭はそこから勝手に引き込み線を引いていることでした。写真を見てもお分かりのように、一本の電柱とその電線から、無数の引き込み線が無秩序に引かれており、よくこんな引き方で事故が起きないものだと呆れました。

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以上、サイクロンに見舞われたミャンマーのヤンゴンの様子をお伝えしました。