現地リポート

2009.06.01タイ:メイホンソン紀行

国名 : タイ タイ国 情報技術(IT)を活用した地域活性化のための人材育成プロジェクト 総括/試験計画
安井 衛
地図:メイホンソン県はタイとミャンマーの国境に位置する人口約26万人(2006年12月現在)の地域。今回訪問したメイホンソン市は(右地図 番号1)、メイサリエン市(同4)、パイ市(同3)

地図:メイホンソン県はタイとミャンマーの国境に位置する人口約26万人(2006年12月現在)の地域。今回訪問したメイホンソン市は(右地図 番号1)、メイサリエン市(同4)、パイ市(同3)

山道の連続で車中の4時間は結構辛い…。

山道の連続で車中の4時間は結構辛い…。

2009年4月に「タイ国 情報技術(IT)を活用した地域活性化のための人材育成プロジェクト」が開始され、専門家チームは同月末に現地入りをした。今回は当プロジェクトのモデルサイトであるタイ北西部ミャンマー国境近くのメイホンソン県について報告する。
タイというと一般的にはバンコクやパタヤ、プーケットなどを思い浮かべる方々が多いと思う。しかしこれ以外にも様々な隠れた観光地があることを、メイホンソン県への出張を通して後に知ることになる。

クンユアム旧日本軍博物館

クンユアム旧日本軍博物館

クンユアム旧日本軍博物館

<チェンマイ経由、いざメイホンソンへ>
飛行機でバンコクからチェンマイ経由で半日かけてようやくメイホンソンに到着。複数の打合せを行った後、同日夜半にはメイサリエンへ4時間かけて車で移動。真っ直ぐな道は少なく、ほとんどがヘアピンカーブの連続する山道なので、激しい揺れのため車中で休息を取ることは容易ではない。数年前に日本から飛行機でバンコクへ降り立った時もバンコクの都市の大きさには驚いたが、今回改めて地方の山間部を巡り、日本に比べ約半分(約6,000万人)の人口が1.4 倍もの面積の国土に住んでいるだけのこともあり、さすがにタイは広くて大きいという印象を抱かされた。
また、メイホンソンからメイサリエンに向かう道には地元では有名な日本軍の博物館がある。ここには旧ビルマに進行していた日本軍の駐屯地にあった遺品などが展示されている。(Webページhttp://www5f.biglobe.ne.jp/~thai/

ミャンマーのお寺に近い形をしている
一般的なタイ料理のメニュー:左から、空心菜の炒め物、ナームと呼ばれる野菜スープ、水菜の天麩羅など
夜店に首長族(カレン族)の商品が並ぶ

ミャンマーのお寺に近い形をしている

ミャンマーのお寺に近い形をしている

<メイサリエンにて>
メイサリエンはこぢんまりとした一般的なタイの地方都市である。仏教国であるタイにはたくさんの寺院が方々にあるが、メイホンソンはミャンマーの国境近くにあるので、寺院の形もミャンマーのそれに似ているところも多く、施されている装飾もタイの他の地域では丸みを帯びているのに対して少し尖っているのが特徴だ。

一般的なタイ料理のメニュー:左から、空心菜の炒め物、ナームと呼ばれる野菜スープ、水菜の天麩羅など

一般的なタイ料理のメニュー:左から、空心菜の炒め物、ナームと呼ばれる野菜スープ、水菜の天麩羅など

<再びメイホンソンにて>
翌日、メイサリエンを発って、再びメイホンソンへ戻った。到着の晩はPearl Restaurantにて夕食を取る。メイホンソン市はメイホンソン県の中心とはいえ、やはり地方都市なので、西洋風のサンドイッチやハンバーガーショップなどは一切なく、レストランはタイ料理がほとんど。食後はナイトマーケットへ繰り出した。訪れた時期は丁度オフシーズンだったので出店数は少なかったが、細い道を所狭しと土産店が並んでおり、あの有名な首長族であるカレン族のお土産などが目立った。夜店を通り抜けると暗い町にひときわ目立つ、小さな池を前にしたイルミネーションを放つ寺院、Jog Thong寺院がある。タイではどの寺院へ行ってもしっかり施設が保守されており、綿密に手入れが施されていることからもタイの人達の仏教への熱心さが感じられる。

この寺院、ちょっと上部がカレン族の首輪みたい??

この寺院、ちょっと上部がカレン族の首輪みたい??

メイホンソンではWiMAXの電波塔(アンテナタワー)の建設予定地であるドイコンムー山を訪れた。山頂には寺院があり、そこでは今回一緒に同行したタイ人のカウンターパート達が、仏塔を崇拝する儀式を行っていた。鉢を持って、仏塔(パゴダ)を3周し、パゴダの周囲にある月曜日から日曜日の窓口の中で自分が生まれた曜日の窓口にお守りを収めるのだという。

<パイにて>
翌日、メイホンソンを発ち、車で2時間半かけて最終紀行地であるパイへ向かった。メイホンソン、メイサリエンと周ってきたが、その中でも個人的にはこのパイに一番興味を感じた。

夜店に首長族(カレン族)の商品が並ぶ

夜店に首長族(カレン族)の商品が並ぶ

メイホンソン県はバックパッカーが世界中から訪れる名所であり、このパイにおいてはそれをこの目で確認できた。人口約3万人のこの小さな町には外国人が多く、目抜き通りには
この寺院、ちょっと上部がカレン族の首輪みたい??
、メイホンソンやメイサリエンとは違って外国人を対象とした小洒落た店や看板が並んでいるのが目に付いた。パイの観光の目玉は大自然で、滝や洞窟、温泉をはじめ、トレッキングやラフティングも行える。外国人においては長期滞在者が多く、宿場も安いところでは一泊400THB(1,200円程)からと長期滞在が可能な価格に設定されている。夜は、目抜き通りにたくさんのお菓子やレストラン、バーなどの店が溢れ1960年代のヒッピーを思わせる外国人観光客が楽しそうにゆっくりとした時間を過ごしていた。
パイは以前までは観光客のほとんどが外国人であったが、最近は訪問者の分布が少し様変わりし国内観光客が増えているという。どうやらその背景には、タイ国内でヒットした『the Memory(タイ語名:”Rak Jung”)※1』、と『Happy Birthday※2』という2つの映画が関係しているらしい。
仏塔を崇拝する儀式
クレープのようなお菓子を売っているパイの露店。イスラム教徒もちらほら見受ける

仏塔を崇拝する儀式

仏塔を崇拝する儀式

映画“the Memory”では、パイに実在するポストカードの店から恋する人に絵葉書を送ると恋が成就するという都市伝説を生んだらしい。店は常に観光客で賑わっており、映画公開の後では以前と比較し収入が数十倍増えたとのことだった。試しに私も日本の家族に絵葉書を送ってみたが、さしあたって家内にも息子にも何ら変化は見られていない。これらの映画をきっかけに、パイは外国人だけでなくタイ人の観光客が大幅に増え、今では国内でも有名なリゾート地となっている。

クレープのようなお菓子を売っているパイの露店。イスラム教徒もちらほら見受ける

クレープのようなお菓子を売っているパイの露店。イスラム教徒もちらほら見受ける

<メイホンソンを巡って>
特に最後に訪れたパイは長期でプライベートな時間を過ごしたい町である。そこには住民や観光客にはパイならではのライフスタイルが感じられ、大自然の中でのゆったりとした空間があった。今後メイホンソン県の町が我々のプロジェクトによって活性化することを目指し、既存のライフスタイルを壊さぬまま、ITを利活用した新しいライフスタイルの色を加えていきたいと切に望んでいる。

※1 http://tv.sanook.com/player/sanook/?contentID=135601&kb=512&CLK=20095181245309528273
※2 http://www.youtube.com/watch?v=rEFeWsbLDBU