FIELD REPORT現地リポート

2019.04.16 Tue

民族と宗教の調和が生む発展~ネパール~

調査部 研究員 林 真帆

ネパール、カトマンズ。バックパックを背負った多くの外国人観光客が見受けられる。日本でもシニア世代の登山ブームからか、アウトドアブランドのおしゃれなウェアに身を包んだ60代くらいの日本人団体をしばしば見かけた。そう、ネパールといえば思いつくのがエベレスト(チョモランマ)、ヒマラヤ山脈。自然に囲まれた山々の国…であった。

そのようなイメージとは全く違い、ネパールの各地では深刻な大気汚染に悩まされている。急激に車の数が増加したことにより、PM2.5の値は、やはり大気汚染が問題とされている北京などの中国の都市以上らしい。舗装されていない道路が多いため、砂埃のせいもあるが、カトマンズの空は晴れていてもいつも淀んでいた。外に出ると眼が滲みる。コンタクト使用者なら涙ものだ。大笑いする際に大きく息を吸うと…むせた。マスクは必須、爆笑は控えよう。

IMG_2136_edited想像と違った点はもう一つ。東京から見える富士山のように、カトマンズからもエベレスト望めるものだとすっかり思い込んでいた。しかし、カトマンズからはエベレストは見えないそうだ。すごく天気が良くて、大気の汚染度が低い時にはほんの少し見える程度だという。ちょっとがっかり。大気汚染で淀んだ空を恨めしく眺める。

さて、ネパールで多くの人が信仰しているのはヒンドゥー教だが、ネパール仏教やチベット仏教などの仏教、さらにイスラム教や地域や民族に根差した宗教を信仰する人も多くいる。そして宗教施設も多く点在している。このように多くの宗教をネパールの人々は受け入れ、よく調和している。このことが、観光客を引き寄せる一つの要因なのかもしれない。

様々な人種、文化、宗教を受け入れてきた背景が、旅行者も容易になじむことができる環境を作っているのだと思う。また、観光客がメインのレストランやカフェはもちろん、地元の店でもいつも気持ちのいい接客を受ける。様々な人を受け入れる文化が、もてなす術を育ててきたのではないだろうか。

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そういえば、町には野良犬かあちこちで見られた。誰かに飼われているわけではないが、人に良く慣れている。こうした動物にも人々は寛容らしい。

なお、カトマンズ市内には多くのイタリアンやフレンチなど西洋料理店、日本料理店などがある。いずれも料理のクオリティが非常に高い。イタリアやフランス、そして日本から来た料理人が調理をしているかと思いきや、ほとんどがネパール人の料理人。ネパールでは海外に出稼ぎに出る人が多く、外国の飲食店で働いてきた人が帰国してからその経験を活かしてレストランを開いたりするそうだ。滞在中に食べ慣れた料理が食べたくなった旅行者にとっては、うれしい存在だ。 

海外出稼ぎ労働者が多いネパール。この国のGDP(国内総生産)の訳3割を、こうした出稼ぎ労働者から送金される外貨が占める。しかし、多様な文化を受け入れる国民性から、きっと多くのことを吸収して戻ってきて、その知識を活かしていくのだと思う。そのような人達によってこの大気汚染の対策も進み、澄んだ空を眺められる日が来ることを期待したい 

※タイトルの写真はチベット仏教の聖地であるボダナート。チベットの文化が感じられる。

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