FIELD REPORT現地リポート

2020.03.17 Tue

アジアの秘境、更なる発展を感じさせる国~ラオス~

調査部 研究員 川上 智子

「サバイディ(こんにちは)!」
挨拶する度に柔和な笑顔で接してくれるラオス人。彼らの安らぎ深い雰囲気は、首都 ビエンチャンが醸し出す風情にも反映されている。

 

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グッドデザイン賞を受賞したと思われる雑貨屋。
このようなお洒落なお店が点在する。

ラオスは中国、ベトナム、ラオス、タイ、ミャンマーの5つの国に囲まれている東南アジア唯一の内陸国である。この経済的立地の不利を補うため、隣国との良好な 二国間外交関係の構築はもちろんのこと、1997年に加盟したASEANを土台にした地域と結びついた経済開発が進められている。社会主義国であるが、1980年代後半から市場経済化と経済開放を導入し、近年はGDP成長率6%以上を維持している。この高いGDP率を支えているのは、鉱山や水力といった豊富な天然資源である。特に国の南北をメコン川が貫いていることから、水資源を活用した水力発電が盛んで、隣国タイにも電力を供給している。まさにラオス経済のライフラインとなっており、日本や中国、国連機関なども電力開発に協力している。

ラオスにまつわる興味深い話として、過去にはニューヨークタイムズで「世界で一番行きたい国」に選出されている。一方、作家・村上春樹著の『ラオスにいったい何があるというですか?』という本があるが、このタイトル通り、日本では同国に対する印象が薄いのは否めない。東南アジア諸国と比較すると小さくて目立たない国であるが、旅行者はこの国のどこに魅力を感じるのだろうか。おそらく1つには、この国の持つのんびりとした空気感ではなかろうか。ビエンチャンでは東南アジア諸国でよく目にする無数のバイクや車は見られるが、クラクションが鳴り響くようなことはない。目立った高層建物やショッピングセンター、派手なライトアップもない。首都なのに都会ならではの喧騒があまり感じられないのが、この国の魅力なのかもしれない。またこの街の風情と呼応して、そこに住む人々も素朴で良い意味で「ガツガツ」していない。街を歩いて物売りに遭遇したこともなく、ラオス人の品の良さを感じたものだ。

黄金色に染まる太陽が沈むメコン河
黄金色に染まる太陽が沈むメコン川


観光業もこの国の大きな産業である。ビエンチャン中心街に目をやると、旧宗主国フランスの影響からか街の至るところに、フランス語・英語・中国といった外国語メニューを揃えているお洒落な雰囲気の良いカフェがある。また外国人向けのプライスで夜遅くまで営業しているマッサージ店やホテルなどが軒並みあり、それらがお互いに競い合っている。滞在中に泊まったホテルの向かい側には別なホテルがあったが、3か月前になかったウォーターサーバーがフロントに設置され、朝食のクオリティが高くなったという話を聞き、外国人観光客誘致に向け奮闘しているのが数日の滞在者でも感じ取れる

ラオスと言えばメコン河。古くから人々はメコン河と共に生きてきた。水運としてそして生活を支える豊穣の河として、人々はメコン河の恩恵を受けてきたのである。生活の営みの資源だけでなく、憩いの場所としても愛されているスポットでもある。夕方になると、何処となく人々が集まり、対岸のタイを眺めながら一人思いにふけっている人もいれば、カップルや親しい人と会話を楽しんで、思い思いの時をメコン河と共に過ごしているのが印象的だった。メコン河は人々の心と日常生活に常に寄り添ってきた。そして今後もそうだろう。聞くと、ラオスは東南アジア大陸部の中心に位置していることから、今後メコン河流域国の流通拠点となりうる可能性があるようだ。

まだまだ秘められた魅力がこの国にはある。ぜひその魅力を肌で感じてみてはいかがだろうか。

タイトル写真:ビエンチャン中心街に位置するパリの凱旋門を模した戦没者慰霊塔のパトゥーサイ。地方から来たラオス人もここを訪れては記念写真を撮るスポットとのこと。

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